１９３０年代の経済危機をモンブランはエコノミーラインと現地生産で乗り切ろうとしていた。
この品はイタリア生産の大変珍しいモデル。モデル”ＩＩＩ”をベースとしたシンプルなデザイン。
加飾を極力廃し、黒の美しさを追求したその姿は利休デザインに通ずる物を感じる。
アイデンティティーであるモンブラン・スターでさえ消し去った。
天冠のデザインはショートなフラットタイプ。
戦前のゾェーネケンに非常によく似た印象。
キャップにはイタリア生産であることを謳った”FABLICATA IN ITALIA”の刻印。
ロゴはスパニッシュモデルと同じ”－”がないデザイン。
”４ １／２”と刻印される、本国仕様の戦前２３４－１／２用ニブが装着される。
大変柔らかく筆圧の高い人には向かない。
全体として状態も良く、セルロイド大国だったイタリア製らしい、充分寝かされた素材を使用。
ひけの殆ど無いボディの”黒”をがいっそう引き閉まって見える。